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第104回 問206-215
問206-207
60 歳男性。体重 50 kg、体表面積 1.5 m2。再発直腸がんで外来通院しながら以下の化学療法(処方 1 、 2 )を受けることになり、化学療法施用当日の夕方17 時に来院した。医師の指示のもと薬剤師が施用準備のため安全キャビネットでオキサリプラチン点滴静注液を輸液Aで希釈した。施用直前に患者が体調不良を訴えたため、翌日 10 時に再来し施用することになった。看護師は薬剤師に輸液Aで希釈したオキサリプラチン点滴静注液が翌日使用できることを確認し、速やかに冷所保存した。
問206
薬剤師がオキサリプラチン点滴静注液の希釈に用いた輸液Aはどれか。1つ選べ。
- 5 %ブドウ糖注射液 250 mL
- 乳酸リンゲル液 500 mL
- 生理食塩液 250 mL
- 7 %炭酸水素ナトリウム注射液 250 mL
- ビタミン B1・糖・電解質・アミノ酸液 500 mL
解 1
問207
オキサリプラチンの配位子及び配位子交換に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- オキサリプラチンは配位子交換を原因とする配合変化を受ける。
- 配位子Aよりも配位子Bの方が交換しやすい。
- 配位子交換の起こりやすさは、交換相手となる配位子の種類、溶媒の pH 及び温度に依存する。
- DNA 塩基との間で配位子交換を通じて架橋構造を形成することにより、抗がん活性を示す。
- 配位子Bは、 3 つの立体異性体のうちの 1 つである。
解 2
問208-209
65 歳男性。労作時胸部圧迫感を訴え医療機関を受診している。冠動脈造影により左冠動脈前下行枝に 75%の強度狭窄を認め、以下の処方薬を服用していた。 3 週間後に狭窄部分を押し広げる治療法である経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による薬剤溶出ステント留置を行う目的で病院に入院することになった。
問208
入院後に持参薬(上記処方)に関する PCI 施行前後の服薬計画を立案するにあたって、薬剤師から医師に提案する内容として正しいのはどれか。2つ選べ。
- PCI 施行前日までは、両持参薬とも内服する必要はありません。
- PCI 施行前にプラスグレル塩酸塩錠を増量する必要はありません。
- PCI 施行後もアスピリン腸溶錠、プラスグレル塩酸塩錠の服用を継続する必要があります。
- PCI 施行後はプラスグレル塩酸塩錠のみ服用を継続する必要があります。
- PCI 施行後はアスピリン腸溶錠のみ服用を継続する必要があります。
解 2, 3
問209
プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換されて効果を発揮するプロドラッグである。以下の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- プラスグレルはチエノピリジン系医薬品である。
- プラスグレルから代謝物Aへの変換にはプロテアーゼの作用が必須である。
- 代謝物Aと代謝物Bとは互変異性体の関係にある。
- 代謝物Bにはジアステレオマーが存在する。
- 活性代謝物Cは血小板の標的タンパク質と共有結合する。
解 2
問210-211
35 歳女性。数日前から咳き込むようになった。市販の咳止め薬を服用していたが、治まらないので病院を受診したところ、呼吸器科で気管支喘息と診断され、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。薬剤師が面談したところ、過去に内服ステロイド薬により満月様顔貌(ムーンフェイス)などの副作用を経験したことが分かった。今回処方された吸入ステロイド薬についても副作用を心配している。なお、この女性は今回初めて吸入薬を使用する。
(注:ブデソニド 1 回吸入量 200 µg のドライパウダー吸入式ステロイド薬)
問210
この患者に対する服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
- この吸入薬は、内服ステロイド薬よりムーンフェイスになりにくいです。
- 吸入後にうがいをすると効果が減弱するので、うがいをしないで下さい。
- ピークフローメーターにより得られた測定値と測定時の症状を、喘息日記に記載してください。
- この吸入薬は咳が出なくなったら、吸入しなくても良いです。
- この吸入薬は咳がさらにひどくなった場合、追加で 1 日 3 回まで吸入しても良いです。
解 1, 3
問211
ブデソニドは肝臓において、活性が低く水溶性の高い代謝物に代謝され、速やかに排泄される。主な代謝経路で起こる反応について正しいのはどれか。1つ選べ。
- アセタール構造が開裂する。
- α-ヒドロキシケトン構造が互変異性を起こす。
- 1 位の二重結合が還元される。
- 11 位のヒドロキシ基が脱離する。
- 21 位のヒドロキシ基が酸化される。
解 1
問212-213
60 歳男性。喘息のため吸入ステロイド薬と共にテオフィリンを服用している。今回、右腰のまわりに痛みを伴う水疱が出現したので皮膚科を受診したところ、帯状疱疹と診断され、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。
面談により、この患者には、過去に口唇ヘルペスでバラシクロビル錠の服用の経験があることが分かった。また、営業職であるため忙しく、 1 日 5 回の服用を守ることは困難であると訴えた。そこで、皮膚科の医師に疑義照会したところ、以下の処方に変更となった。
なお、この患者のクレアチニンクリアランスは 50 mL/min であった。
問212
この患者に処方されたバラシクロビル錠に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 口唇ヘルペスと帯状疱疹に対する用法・用量・投与日数は異なる。
- テオフィリンと併用しても、テオフィリンの中毒症状が現れることはない。
- アシクロビルに比べて副作用が現れにくい。
- 腎機能が低下した時には、投与間隔の延長あるいは減量を伴った投与間隔の延長の措置を行う。
- 7 日間服用することで痛みは消失するが水泡は消失することはない。
解 1, 4
問213
バラシクロビルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- アシクロビルの脂溶性を増大させることを意図して創出されたプロドラッグである。
- アシクロビルと L-バリンがエステル結合を介して連結した構造をもつ。
- 生体内に存在する酵素の作用により、波線部aにおいて結合が切断される。
- 生体内でbに示す酸素原子がリン酸化されることによって薬理活性を示す。
- 小腸のペプチドトランスポーターを介して吸収される。
解 2, 5
問214-215
50 歳女性。 3 ヶ月前から、ふくらはぎがつることで眠れないなどの症状が出たので、市販の漢方薬Aを服用していた。今回、両下腿浮腫が発現したので、近医を受診し、胸部レントゲン検査にて心拡大を認めたため入院となった。血圧160/64 mmHg、脈拍 78 回/分、血清カリウム値 3.1 mEq/L。動脈血ガス検査にて代謝性アルカローシスを認めた。心電図は正常。心臓超音波検査にて、心機能正常だが心嚢液貯留を認めた。
問214
漢方薬Aはどれか。1つ選べ。
- 芍薬甘草湯
- 八味地黄丸
- 半夏厚朴湯
- 大建中湯
- 牛車腎気丸
解 1
問215
前問における漢方薬A服用後の症状の発現の原因となる生薬成分は、腸内細菌による加水分解を受けたのちに吸収される。加水分解後の化学構造はどれか。1つ選べ。
解 5
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