皆さんご存知でしたか?
薬剤師国家試験の満点は、実は690点なのです。
つまり、【1問2点】で計算をすることになります。
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薬剤師国家試験は690点満点!
上記について、これから試験を受ける学生さんに話をすると、
「そんなの聞いたことないです…」
「先輩もそんなこと言ってなかったです…」
こういった答えが返ってきました。もちろん、そう思う方が大半だと思います。
ですが、厚生労働省の薬剤師国家試験のページにしっかりと1問2点で計算するということは記載されているのです。
(注)配点は1問2点(690点満点)
厚生労働省医薬・生活衛生局「第104回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」より引用
なぜ1問2点なのでしょうか。
1問1点345点満点で考えても同じことではないのでしょうか…?
今回は、この疑問について考えてみようと思います。
【1問2点】への考察
以下は私の考察となります。
この1問2点で採点している理由は、「傾斜配点説」によるものだと思っています。
この説は、知る人ぞ知る…と言いますか、まことしやかに言われているものです。
厚生労働省の情報や私の知る大学教員からの情報をもとに、いろいろと考えてみました。
1. 傾斜配点説とは
問題によって点数を変えることで、極端な正答率だった問題の影響を補正しているのではないかという噂です。
全て1問2点ではなく、正答率に応じて1問1点や1問3点にすることで、確かに補正が可能となりますよね。
2. なぜ傾斜配点をするのか?
薬剤師国家試験は、認定試験です。
今年は難しかった、去年は簡単だったー。
こういう難易度のバラツキは出るものですが、できる限り同一水準の問題を作る必要があります。
厚生労働省では「約20%は過去問から出題する」ということを明言しています。
過去問からある程度の問題を出題することで同じレベルになるように調整されています。
しかしながら、非常に厄介ですが、一定数は新規傾向の問題が出題されます。
新しい傾向の問題が出題された時に、特定の人だけが解ける問題だと不適切な問題だったとなりかねません。
そういったこともあり、試験自体の合格点から60~70%程度の正答率を目標に問題作成がなされているではないかと思います。

傾斜配点をすることで、ほとんどの人が解けなかった問題(いわゆる悪問)を1点、ほとんどの人が解けた問題を3点とすることで極端な正答率の影響を少なくしているのではないかと考えられます。
3. 傾斜配点をしているのではないかという考察の根拠
①合格点以下の人が毎年合格している
実のところ、毎年自己採点が合格点以下の人でも合格しています。
解なしなどが数問出ますが、実はそれ以上に合格点よりも下回った人でも合格者が出ています。
このことから補正されていることは間違いありません。
②厚生労働省が点数を補正していると明言している
薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針にて、
「難易の補正については、現行どおり正答率及び識別指数の低い問題について、得点を調整する。」
平成28年2月4日医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験制度改善検討部会「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」より引用
と記載されています。
①であげたように合格点以下の人が毎年合格しているのは、補正が入ったからだということがわかります。

4.「傾斜配点」から考える模試結果の見方
模試の結果を見て、「合格点に達していた」「合格点に達していなかった」と一気一憂していませんか?
模試を作成した人=国試を作っている人ではありません。
そのため、予備校の先生が全く違った傾向の問題を作っているかもしません。
模試は、合格点に届いたかどうか見るものではなく、同学年の薬学部の人と比べて自分がどの位置にいるかを測るためのものです。
点数で考えるよりも、自分が受験者の半分より上に入っているかどうかを意識してください。
「傾斜配点」の攻略、それが薬剤師国家試験の勉強法
傾斜配点をしている目的は、「難易度」の調整です。つまり、みんなと同じように問題が解けることが大事です。
マニアックな知識を身についている人やみんなと違った参考書で勉強している人はいませんか?
深い知識を得ることが大事ですが、薬剤師国家試験を合格するには非常に非効率的です。
特別な参考書を使う必要はありません。
過去問をしっかりと解いて、みんなと同じ参考書をしっかりと勉強しておくことが「傾斜配点」の攻略法だと思います。
新しい傾向の問題が出ても、「どうせ1点の問題」だと思って取れたらラッキーくらいに考えた方がいいと思います。
逆にこれまでと同じ傾向の問題は、取りこぼさないようにしてください。取れる問題はしっかり正解することが大事なのです。
これはつまり、薬剤師国家試験の合格するための勉強法に通じるのです。