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第103回 問296-305
問296-297
56歳男性。以下の処方箋を持って薬局を訪れた。
足裏と足側面にかゆみ、水疱、皮膚の剥離などの症状が出現し、皮膚科外来を受診したとのことであった。
(処方)
ラノコナゾールクリーム1% 10g 6本 1回適量 1日1回 塗布
問296
この外用剤を使用する際に伝えるべき注意点として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 症状の改善が認められたら、徐々に塗布回数を減らす。
- アキレス腱周囲ぐらいまで広めに塗布する。
- 患部は保湿に心がける。
- 塗布した状態で日光にあたらない。
- 塗布部位に発赤などが生じたら、使用を中止する。
解 2, 5
問297
この患者の病態と処方薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。
- この患者は皮膚真菌症に罹患している。
- 症状と発症部位から足カンジダ症の可能性が高い。
- 深在性真菌症にも有効である。
- 患部のびらん症状がひどくなった場合には、内服療法へ切り替える。
- 病変部位を採取し直接鏡検を行い、治癒を確認する。
解 2, 3
問298-299
50歳男性。庭で草むしり中にハチに刺された。
その直後に全身の瘙痒感と発赤が認められ、口唇部から頸部にかけての違和感と呼吸苦が出現した。
40分後に救急搬送され、治療が開始された。
搬送時には、頸部、体幹、四肢に広く膨隆疹、頭部顔面全体に発赤腫脹を認め、意識はもうろう状態であった。
検査データ:血圧 78mmHg/測定不能(収縮期/拡張期)、脈拍 98bpm、呼吸数 25回/min、酸素飽和度 90%、体温 35.8℃
動脈血ガス:pH 7.38、PaO2 68Torr、PaCO2 33Torr
問298
この患者の病態や症状に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 発症にはⅢ型アレルギーが関与している。
- 肥満細胞からの化学伝達物質の急激な放出により、全身ショック状態になった。
- 通常は原因物質侵入後5~10分以内に症状が発現する。
- 血圧低下の原因は血管透過性の低下である。
- 酸素飽和度は正常である。
解 2, 3
問299
初療段階でこの患者に使用する注射薬として適切でないのはどれか。2つ選べ。
- ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム
- ヒトインスリン
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- アドレナリン
- プロプラノロール塩酸塩
解 2,5
問300-301
70歳女性。3日前から全身倦怠感、前日から38℃台の発熱があった。
起床時に立ち上がることができなかったため、救急搬送された。
搬送時の検査データ:意識 やや混濁、血圧 82/56mmHg、心拍数 105bpm、呼吸数 23回/min、酸素飽和度 93%、体温 38.6℃、左肋骨脊柱角に叩打痛あり、白血球数 16,500/μL、CRP 20.8mg/dL、BUN 41.5mg/dL、Cr 2.3mg/dL
尿のグラム染色では、大腸菌を疑わせるグラム陰性桿菌を多数認めた。
救急外来でブドウ糖加乳酸リンゲル液の点滴を行ったところ、意識状態、血圧、心拍数に改善が認められた。
この時点で、抗菌薬を投与することとなった。
問300
薬剤師が推奨すべき抗菌薬として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ベンジルペニシリンカリウム
- セフトリアキソンナトリウム
- ダプトマイシン
- エリスロマイシンラクトビオン酸塩
- リネゾリド
解 2
問301
本患者は敗血症と診断された。
本患者の病態及び薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 敗血症では白血球が減少することはない。
- 敗血症は、症状と血液検査で疑い、血液培養を行い、病因診断を行う。
- 患者の治療を優先するために、抗菌薬投与後に血液培養を行う。
- 発熱は十分な輸液により改善する。
- 治療後には腎機能の改善を認める。
解 2, 5
問302-303
68歳男性。肝細胞がんによる肝部分切除後に痛みが出現したため疼痛治療を開始した。
1ヶ月前から医療用麻薬が導入され、2週間前に増量された。
今回、肝細胞がん再発の治療のため入院となった。
緩和ケアチームの薬剤師は、患者へのインタビューにより、「痛みのコントロールは良好だが、2週間ほど前から眠気が強くなり昼間でも傾眠傾向あり」との情報を得た。
現在の処方
モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠10mg 1回2錠(1日4錠) 1日2回 8時、20時 7日分
モルヒネ塩酸塩内用液5mg 1回1包 疼痛時 5回分(全5包)
酸化マグネシウム錠330mg 1回2錠(1日6錠) 1日3回 朝昼夕食後 7日分
検査データ:NH3 50μg/dL、Alb 3.0g/dL、Na 137mEq/L、Cl 104mEq/L、K 5.3mEq/L、Ca 8.7mg/dL、BUN 25mg/dL、Cr 1.28mg/dL、Ccr 38.2mL/min、腹水 (-)、脳への転移 (-)
問302
薬剤師は患者の眠気の原因を考察した結果、モルヒネ硫酸塩水和物から他の鎮痛薬への変更の必要性を医師に相談することにした。
薬剤師が推奨すべき薬物として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- フェンタニルクエン酸塩
- プレガバリン
- オキシコドン塩酸塩水和物
- ペンタゾシン
- トラマドール塩酸塩
解 1,3
問303
この患者の病態と薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 他の鎮痛薬へ変更しても、便秘は軽減できない。
- 排泄障害により、モルヒネの血中濃度が上昇し傾眠傾向となっている。
- モルヒネの代謝物が、オピオイド受容体に対する作用増強の原因となっている。
- 鎮痛薬の変更と同時にナロキソンを投与して傾眠を改善させる。
- 腎機能の悪化が、眠気を引き起こすことになった要因として考えられる。
解 3, 5
問304-305
産婦人科の医師から、医薬品情報室に「帝王切開前の皮膚消毒に用いる消毒薬として、クロルヘキシジンとポビドンヨードのどちらが手術部位感染を予防するのに良いか。」との問い合わせがあった。
情報収集の結果、クロルヘキシジン(2%クロルヘキシジングルコン酸塩+イソプロピルアルコール)群と、ポビドンヨード(8.3%ポビドンヨード+イソプロピルアルコール)群を比較した論文を見出し、表に基づいて説明した。
問304
薬剤師の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 主要評価項目は、手術部位感染の発症率と平均入院期間であった。
- クロルヘキシジン群では、ポビドンヨード群と比べて、手術部位感染のリスクが45%減少することが示されている。
- クロルヘキシジン群では、ポビドンヨード群と比べて、深部の手術部位感染のリスクは統計学的に有意に小さい。
- クロルヘキシジン群、ポビドンヨード群ともに、入院期間の中央値は4日間であった。
- 再入院までの期間は、クロルヘキシジン群、ポビドンヨード群においてそれぞれ19日間、25日間であった。
解 2,4
問305
この研究に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- この研究は介入研究である。
- Primary outcomeとは真のアウトカムのことである。
- Randomized trialでは交絡因子の制御が困難である。
- ITT解析により、当初の患者背景因子の同等性が保持されていると考えられる。
- 生存時間分析を行っている。
解 1,4
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