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第103回 問286-295
問286-287
24歳男性。悪性リンパ腫に対して外来化学療法を実施予定である。
外来化学療法室で、薬剤師がレジメンチェックを行った。
レジメン(R-CHOP) 1クール目
(処方1)
リツキシマブ注射液 375mg/m2
生理食塩液 500mL
主管より約30分間で点滴静注
(処方2)
シクロホスファミド水和物注射用 750mg/m2
生理食塩液 250mL
主管より約30分間で点滴静注
(処方3)
ドキソルビシン塩酸塩注射液 50mg/m2
生理食塩液 100mL
主管より約30分間で点滴静注
(処方4)
ビンクリスチン硫酸塩注射用 1.4mg/m2
生理食塩液 50mL
主管より約10分間で点滴静注
(処方5)
プレドニゾロン錠5mg 1回10錠(1日20錠) 1日2回 朝昼食後 5日分
問286
医師に確認又は提案すべき内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- リツキシマブ注射剤の投与前に、B 型肝炎ウィルス感染の有無を確認する。
- シクロホスファミド水和物注射剤の投与後は、しびれなどの末梢神経障害の発現に注意する。
- ドキソルビシン塩酸塩注射剤の投与が長期化する際には、総投与量(累積投与量)に注意する。
- ビンクリスチン硫酸塩注射剤の投与後は、出血性膀胱炎の発現に注意する。
解 1, 3
問287
R-CHOP療法の実施により、急に尿量の減少と浮腫を認めたため外来受診した。
その際に血液検査で認められる異常所見として可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
- 高尿酸血症
- 低カリウム血症
- 高ナトリウム血症
- 高カルシウム血症
- 高リン血症
解 1, 5
問288-289
68歳男性。体重60kg。高血圧症及び便秘のため下記の処方薬を服用していた。
患者は日中に町内会の夏祭りの準備をしており、水分摂取を忘れるほど夢中に作業をしたところ、体調不良となり救急搬送された。
救急搬送時の体温は38.5℃。血液検査で、血清クレアチニン値が前回受診時の0.8mg/dLから2.5mg/dLへと上昇しており、急性腎不全の診断となった。
(処方1)
エナラプリルマレイン酸塩錠10mg 1回1錠(1日1錠)
トリクロルメチアジド錠2mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分
(処方2)
酸化マグネシウム錠330mg 1回2錠(1日6錠) 1日3回 朝昼夕食後 14日分
問288
この患者の薬学的管理に関する提案のうち、適切でないのはどれか。2つ選べ。
- ロキソプロフェンナトリウム水和物錠の投与
- 酸化マグネシウム錠の中止
- エナラプリルマレイン酸塩錠の中止
- トリクロルメチアジド錠の中止
- レボフロキサシン水和物錠の投与
解 1, 5
問289
急性腎不全の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 不可逆的に腎機能が低下する。
- 低カリウム血症が起こる。
- 腎前性の場合は尿中ナトリウム低値を伴う乏尿が起こる。
- ビタミンD活性化障害により腎性貧血が認められる。
- 脱水は急性腎不全の危険因子である。
解 3,5
問290-291
74歳男性。喘息にて近医から下記の薬剤(処方1及び処方2)が処方されていた。
呼吸困難を自覚しており、禁煙したにもかかわらず、症状が改善しないため、呼吸器内科を受診したところ、新たにCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断され、追加の処方(処方3)が行われた。
(処方1)
オルベスコ100μgインヘラー56吸入用(注1) 1本 1回2吸入 1日1回 朝 吸入
注1:シクレソニドを含有する加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)。1吸入でシクレソニドとして100μgを吸入できる。
(処方2)
セレベント50μgディスカス(注2) 1本 1回l吸入 1日2回 朝就寝前 吸入
注2:サルメテロールキシナホ酸塩を含有するドライパウダー吸入器(DPI)。1吸入でサルメテロールとして50μgを吸入できる。
(処方3)
スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入(注3) 1本 1回2吸入 1日1回 朝 吸入
注3:チオトロピウム臭化物水和物を含有する吸入用器具。1吸入でチオトロピウムとして2.5μgを吸入できる。
問290
吸入剤の服薬指導に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 加圧式定量噴霧吸入器は吸気と噴霧の同調が必要でないため、任意のタイミングで吸入するように説明する。
- ドライパウダー吸入器は自己の吸気で吸入を行うため、十分な吸気力があるかを確認する。
- 吸入薬は、内服薬と同等の全身性の副作用があると伝える。
- 吸入薬は、内服薬と同等の全身性の副作用があると伝える。
- 喘息発作時にはオルベスコを使用するように伝える。
解 2, 4
問291
本患者の肺機能検査の結果、以下のような検査値が得られた。
また、緑内障を合併していないことを確認した。
本患者の病態及び薬物治療における注意点として、正しいのはどれか。2つ選べ。
努力肺活量(FVC) 2.72L (予測値:2.98L)、1秒量(FEV1.0) 1.42L (予測値:1.86L)、PaO2 75Torr、PaCO2 46Torr、血液pH 7.37
- 可逆性の換気障害が特徴的である。
- 50%≦%FEV<80%であるので、病期はⅡ期中等症である。
- 処方3の薬剤を使用するにあたって、排尿障害があるか否かを確認する必要がある。
- 感染の重症化を防ぐため、インフルエンザワクチン及び肺炎球菌ワクチンを年1回、接種するように指導する。
- 在宅酸素療法の適応となる。
解 2, 3
問292-293
28歳女性。1ヶ月ぐらい前から動悸、手指の震えがあり、発汗が多くならたため近医を受診したところ、バセドウ病と診断され下記の薬剤が処方された。
(処方)
プロピルチオウラシル錠50mg 1回2錠(1日6錠) 1日3回 朝昼夕食後 28日分
問292
患者への説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 催奇形性の報告があるので、薬剤服用中は妊娠を避けるよう説明する。
- 甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬であると説明する。
- 規則的に数ヶ月間服用し、症状が改善したら減薬できると説明する。
- 海藻類を積極的に摂取するよう説明する。
- 定期的な血液検査の必要性を説明する。
解 2,3,5
(選択肢に正解が3つあるため、いずれか2つを選べば正解です。)
問293
服薬を開始して2週間後に38.5℃の発熱と強い咽頭痛を認めたため受診した。
血液検査では、赤血球数390×104μL、ヘモグロビン12.2g/dL、白血球数1,000/μL、好中球数350/μL、血小板数44×104μL、CRP6.7mg/dLであった。
本症例の今後の薬物治療として適切なのはどれか。1つ選べ。
- 処方薬6錠/日を継続しながら抗菌薬を追加投与する。
- 処方薬を3錠/日に減量して、抗菌薬を追加投与する。
- 処方薬を一旦中止して、発熱が消失した後に再開する。
- 処方薬をチアマゾール錠に変更する。
- 処方薬を中止する。
解 5
問294-295
26歳男性。統合失調症の診断を受け、ハロペリドールを処方されていた。
手の震え、体のこわばりやアカシジア(静座不能)などの副作用の出現により服薬を自己中断するため、入退院を繰り返している。
3ヶ月前から以下の処方に変更となった。
(処方)
オランザピン錠10mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 就寝前 7日分
3ヶ月前の検査データ:体重 68kg、空腹時血糖 110mg/dL、LDL-C(低密度リポタンパク質コレステロール) 130mg/dL、HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール) 47mg/dL、TG(トリグリセリド) 120mg/dL
現在、患者の精神状態は安定しているが、食欲が亢進し、栄養指導しても過食になることが多い。
現在の検査データ:体重 76kg、空腹時血糖 110mg/dL、LDL-C 138mg/dL、HDL-C 42mg/dL、TG 150mg/dL
服薬指導の際に、患者から「体重増加は困るので、薬を変えて欲しい」との訴えがあった。
問294
この患者の病態及び治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- オランザピンの服用により糖尿病を発症している。
- 錐体外路症状は、漏斗下垂体のドパミン神経の過剰興奮によって起こる。
- オランザピンはハロペリドールよりも錐体外路症状を起こしにくい。
- オランザピンによる悪性症候群の発症はない。
- 体重増加はオランザピンに特徴的な副作用であり、他の抗精神病薬では認めない。
解 3
問295
薬剤師が患者の訴えを医師に伝えたところ、代替薬を検討することになった。
副作用発現の観点から推奨できる薬物として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- クロルプロマジン塩酸塩
- クロザピン
- クエチアピンフマル酸塩
- スルピリド
- アリピプラゾール
解 5
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