◎薬剤 ◎実務 第103回

薬剤師国家試験 過去問 第103回【薬剤/実務】薬学実践問題 問276-285



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第103回 問276-285

問276-275

69歳男性。7年前から高血圧と糖尿病のため、エナラプリルマレイン酸塩、メトホルミン塩酸塩及びグリメピリドを服用している。

これまで特に問題なく過ごしていたが、最近、動悸を感じるようになり病院を受診した。

心電図から心房細動と診断され、以下の薬剤が追加処方された。

(処方1)
ベラパミル塩酸塩錠40mg 1回1錠(1日3錠) 1日3回 朝昼夕食後 7日分

(処方2)
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセル75mg 1回2カプセル(1日4カプセル) 1日2回 朝夕食後 7日分

なお、患者の身体所見及び検査値などは次のとおり。

身長176cm、体重72kg、血圧148/93mmHg、体温37.0℃、心拍数161回/min(不規則)、呼吸数15回/min、BUN21mg/dL、Scr1.7mg/dL、Ccr42mL/min、AST14U/L、ALT16U/L

 

問276

この患者の薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

  1. 処方1の主目的は、血圧を十分に低下させることである。
  2. 脈拍が不規則なので、プロプラノロール塩酸塩の処方を提案する必要がある。
  3. 処方2の代替薬の1つにリバーロキサバンがある。
  4. 処方2は心原性脳梗塞の予防目的で処方されている。
  5. PT-INR値が2.0~3.0になっているか、モニタリングが必要である。

 

 

 

 

 

解   3,4

 

問277

薬剤師は、処方2について減量を考慮すべきと判断した。

その理由として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. ベラパミル塩酸塩との併用により、P-糖タンパク質が阻害され、消化管吸収が増大するため。
  2. メトホルミン塩酸塩との併用により、尿細管分泌が抑制され、血中からの消失が遅延するため。
  3. 腎排泄能力の低下により、血中からの消失が遅延するため。
  4. グリメピリドとの併用により、CYP2C9による代謝が低下し、血中からの消失が遅延するため。
  5. 肝代謝能力の低下により、血中からの消失が遅延するため。

 

 

 

 

 

解    1, 3

 

問278-279

36歳女性。腎移植目的で入院となった。

移植に伴いサンディミュン®カプセル、ミコフェノール酸モフェチルカプセル、メチルプレドニゾロン錠を術前より内服することとなり、担当薬剤師が指導を開始した。

移植手術は無事に終了し医師の指示によりサンディミュン®カプセルをネオーラル®カプセルに切り替えることになり、引き続き担当薬剤師が指導を継続することになった。

注:サンディミュン®カプセル:シクロスポリンの油性製剤

ネオーラル®カプセル:シクロスポリンの自己乳化型マイクロエマルション製剤

 

問278

薬剤師がこの患者に行う術前、術後の服薬指導として、適切でないのはどれか。2つ選べ。

  1. これらの薬を飲んでいる間は、こまめに手洗いをしてください。
  2. 抵抗力が下がり、感染症にかかりやすくなるので、麻疹や風疹などのワクチン接種をしておきましょう。
  3. シクロスポリンは血液中の薬の濃度を測りながら服用する量を決めますので、血液検査が多くなります。
  4. グレープフルーツジュースはシクロスポリンの効果を弱めてしまいますので、飲まないでください。
  5. 薬を切り替える時には副作用がでることがありますので、気になることがあれば言ってください。

 

 

 

 

 

解     2, 4

 

問279

術前に服用していたシクロスポリンの油性製剤と術後に処方された自己乳化型マイクロエマルション製剤の特徴に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 自己乳化型マイクロエマルション製剤の方が、バイオアベイラビリティが高い。
  2. いずれも消化管液中でw/o型エマルションが形成される。
  3. 自己乳化型マイクロエマルション製剤の方が、薬の吸収に対する食事の影響が小さい。
  4. 自己乳化型マイクロエマルション製剤の方が、油相と水相の間の界面張力が大きいため、液滴が微細化される。
  5. シクロスポリンは水溶性が高いため、主にエマルションの水相に分配する。

 

 

 

 

 

解    1,3

 

問280-281

86歳女性。骨粗しょう症で整形外科を受診し薬物治療を受けている。

服用している薬剤は以下のとおりであった。

(処方1)
アレンドロン酸ナトリウム錠35mg 1回1錠(1日1錠) 毎週火曜日起床時 4日分 (投与実日数)

(処方2)
アルファカルシドール錠1μg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 28日分

しかし、最近になりアレンドロン酸ナトリウム錠が大きいために嚥下が困難になったので、薬局を訪れた。

担当した薬剤師が医師に連絡したところ、次回より以下の処方に変更することになった。

(処方1)
アレンドロン酸ナトリウム水和物経口ゼリー剤35mg 1回1包(1日1包) 毎週火曜日起床時 4日分(投与実日数)

(処方2)
アルファカルシドール錠1μg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 28日分

 

問280

処方箋を受け取った薬剤師は、すでに服用している錠剤の基本的な服用法を患者に対して再確認した。

次に、このゼリー剤で注意することについて、新たに追加説明を行うことにした。

その追加の内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 起床してすぐにコップ一杯の水で服用すること。
  2. 口の中で噛んだり、溶かしたりしないこと。
  3. 服用後、少なくとも30分たってから食事を摂ること。
  4. 低温(冷蔵庫など)を避けて保存すること。
  5. カルシウムやマグネシウム等の含量が特に高い飲料で服用しないこと。

 

 

 

 

 

 

解  4

 

問281

本経口ゼリー剤の添加剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

なお、本経口ゼリー剤には、添加剤としてカラギーナン、ローカストビーンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、D-ソルビトール、クエン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピルが含まれる。

  1. カラギーナンは、種類によってカルシウムイオンやカリウムイオンでゲル化するものがある。
  2. ローカストビーンガムは、保存剤として添加されている。
  3. ポリアクリル酸ナトリウムは、主薬の酸化に対する安定性を高める。
  4. クエン酸ナトリウムは、乳化剤として添加されている。
  5. パラオキシ安息香酸プロピルは、増粘剤として添加されている。

 

 

 

 

 

 

解  1

 

問282-283

2歳男児。夕方に発熱があり、同時に痙れんが起こったので近所の小児科を受診した。

その後、母親が処方箋を薬局に持参した。その処方内容は以下のとおりであった。

(処方1)
アセトアミノフェン坐剤100mg 1回1個 発熱時 6回分(全6個)

(処方2)
ジアゼパム坐剤4mg 1回1個 発熱時 4回分(全4個)

注:アセトアミノフェン坐剤の基剤:ハードファット

ジアゼパム坐剤の基剤:マクロゴール

 

問282

薬剤師が坐剤の使用経験を確認したところ、坐剤の併用は初めてとのことであった。

そこで、この2種類の坐剤の併用方法について説明した。

その内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、熱が下がってからジアゼパム坐剤を挿入してください。
  2. ジアゼパム坐剤を先に挿入し、3~5分ほどしてからアセトアミノフェン坐剤を挿入してください。
  3. アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、3~5分ほどしてからジアゼパム坐剤を挿入してください。
  4. ジアゼパム坐剤を先に挿入し、30分以上してからアセトアミノフェン坐剤を挿入してください。
  5. アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、30分以上してからジアゼパム坐剤を挿入してください。
  6. アセトアミノフェン坐剤を挿入したら、直ちにジアゼパム坐剤を挿入してください。

 

 

 

 

 

解   4

 

問283

前問の投与順を選択した理由として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤を同時に投与すると、直腸内で両主薬の溶解度が上昇し、吸収量が増加する。
  2. アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤を同時に投与すると、主薬間で不溶性の複合体を形成し、吸収量が減少する。
  3. ジアゼパム坐剤を先に投与すると、アセトアミノフェンがマクロゴールに分配し、吸収量が減少する。
  4. アセトアミノフェン坐剤を先に投与すると、ジアゼパムがハードファットに分配し、吸収量が減少する。
  5. マクロゴールによってハードファットが不溶化し、アセトアミノフェンの溶出量が減少する。

 

 

 

 

 

解  24

 

問284-285

52歳男性。食道がんの手術後に完全静脈栄養による治療を受けていた。

ビタミンB1不足による乳酸アシドーシスの疑いでチアミン塩化物塩酸塩を急速静注したが、効果が不十分であったため7%炭酸水素ナトリウム注射液40mLを輸液500mLに混合して点滴投与する予定である。

 

問284

2種以上の注射剤・輸液剤を混合する際に生じる配合変化について、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. ある特定のイオンの存在で沈殿を生じることがある。
  2. pHの異なる注射剤を混合する場合は、製剤中の主薬の溶解性が低下することがある。
  3. 溶解補助剤を使用した難水溶性の薬剤を含む注射剤は、輸液剤で希釈すれば主薬の析出を回避できる。
  4. コロイドを含む注射剤と電解質輸液を混合すると、コロイドが凝集することがある。
  5. 糖とアミノ酸を含む輸液を混合すると、褐色に着色することがある。

 

 

 

 

 

 

解      3

 

問285

表は、各輸液の成分濃度を示している。

炭酸水素ナトリウム注射液との混合で、配合変化が生じる可能性が最も高い輸液剤はどれか。1つ選べ。

ただし、電解質の濃度はmEq/L、ブドウ糖の濃度はw/v%である。

 

 

 

 

 

 

解    1

 

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