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第103回 問266-275
問266-269
55歳男性。10年前に2型糖尿病と診断され、生活習慣の改善とナテグリニドの服用を開始した。
5年前にHbA1c値が8.4%まで上昇したため、メトホルミン塩酸塩が追加され、その後増量されて以下の処方となった。
(処方1)
メトホルミン塩酸塩錠500mg 1回1錠(1日3錠)
ナテグリニド錠90mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食直前 30日
問266
処方1に対して、特に注意すべき副作用の初期症状はどれか。2つ選べ。
- 尿路感染症による排尿痛
- メラニンの過剰生成による色素沈着
- 心機能低下による下肢の浮腫
- 乳酸アシドーシスによる全身倦怠感、過呼吸
- 低血糖によるめまい、ふらつき
解 4,5
問267
各グラフの実線は、ナテグリニド錠を食直前に服用した際の血漿中濃度推移を表す。
本剤を食直後に服用した場合、予想される血漿中濃度推移(破線)を表す最も適切なグラフはどれか。1つ選べ。
解 4
問268
この患者は、処方1による治療を行っていたが、血糖コントロール不良状態が3ヶ月続いたため、以下のインスリン製剤を追加することになった。
(処方2)
インスリン デテミル(遺伝子組換え)(300単位/3mL) 1筒 1回7単位 1日1回 就寝前
この患者に対する服薬指導に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
- インスリン デテミルが追加になりましたので、これまで処方されていたナテグリニドの服用は中止になります。
- 膵臓のインスリン分泌能がなくなってしまったため、インスリン製剤が必要となりました。
- なるべく同じ部位で、少しずつずらした場所に注射してください。
- 体重増加しやすくなりますので、食事・運動療法をしっかり行いましょう。
- インスリン デテミルは基礎インスリンを補充するものなので、低血糖に注意する必要はありません。
解 3,4
問269
インスリン デテミルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 速効型のインスリン製剤である。
- 皮下注射後、等電点沈殿に伴い微結晶になり、ゆっくりと溶解して血中に移行する。
- ヒトインスリンにミリスチン酸基を付加し、血漿中のアルブミンとの結合を利用して作用の持続化を図っている。
- 投与ごとの血糖降下作用のばらつきが少なく、安定した血糖コントロールが期待できる。
- 等張化剤としてD-グルコースが用いられている。
解 3,4
問270-271
23歳男性。幼児期に喘息と診断され、総合病院の呼吸器内科でテオフィリンが処方され、継続的に服用している。
最近、体調を崩し、近所の内科を受診したところ、マイコプラズマ肺炎と診断され、以下の薬剤が投薬された。
服用を始めて2日後、男性は夜中に眠れなくなったので、薬剤情報提供書を薬局に持参してかかりつけ薬剤師に相談した。
(処方)
1.シプロフロキサシン錠200mg 1回1錠(1日2錠) 1日2回 朝夕食後 7日分
2.カルボシステイン錠500mg 1回1錠(1日3錠)
アンブロキソール塩酸塩錠15mg 1回1錠(1日3錠)
チペピジンヒベンズ酸塩錠20mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 7日分
3.モンテルカスト錠10mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 就寝前 7日分
問270
相談された薬剤師は、テオフィリンとの薬物相互作用による副作用を疑い、内科医に疑義照会した。
その際、薬剤師が変更を提案すべき薬剤はどれか。1つ選べ。
- シプロフロキサシン錠
- カルボシステイン錠
- アンブロキソール塩酸塩錠
- チペピジンヒベンズ酸塩錠
- モンテルカスト錠
解 1
問271
前問における薬物相互作用の機序として正しいのはどれか。1つ選べ。
- CYP1A2の阻害
- CYP3A4の誘導
- 有機カチオントランスポーターの阻害。
- P-糖タンパク質の阻害
- キレートの形成
解 1
問272-273
76歳男性。1年前より心房細動にて内科を受診してワルファリンを服用しており、その処方は以下のとおりであった。
朝食後に忘れず服用していること、他科受診及び併用薬はないこと、納豆は食べていないことを薬剤の交付時に確認していた。
(処方)
ワルファリンK錠1mg 1回2錠(1日2錠) 1日1回 朝食後 56日分
本日、本人が妻と一緒に処方箋を持って薬局を訪れた。
処方箋を確認したところ、1回2錠から1回4錠に増量となっていた。
本人によると、血液検査の結果が悪かったため、増量になったとのことであった。
また、妻によると、1ヶ月半前から毎食前にジュースを作って飲ませているとの話であった。
問272
ジュースについて確認したところ、次の食材が含まれているとのことだった。
薬剤が増量になった原因として考えられる食材はどれか。1つ選べ。
- グレープフルーツ
- ニンジン
- ブルーベリー
- ホウレンソウ
- ヨーグルト
解 4
問273
前問と同じメカニズムによる相互作用の例として、適切なのはどれか。1つ選べ。
- リファンピシンは、ワルファリンの肝取り込みトランスポーターを阻害する。
- ミコナゾールは、CYP2C9を誘導してワルファリンの代謝速度を上昇させる。
- メナテトレノンは、ワルファリンによる血液凝固因子の生合成阻害作用と拮抗する。
- アスピリンは、ワルファリンによる血小板凝集抑制作用と拮抗する。
- コレスチラミンは、腸管内でワルファリンを吸着することで吸収を阻害する。
解 3
問274-275
50歳男性。体重70 kg。血清アルブミン値4.1 g/dL、血清クレアチニン値2.0 mg/dL。
重症のMRSA院内感染によりバンコマイシン塩酸塩を 1 日 1 回間欠点滴投与することになった。初回は負荷投与する予定である。
この患者におけるバンコマイシンの分布容積は0.7 L/kg、半減期は 24 時間と見積もられている。
血液培養の結果、バンコマイシンによる最小発育阻止濃度(MIC)は1.0 μg/mLであった。
問274
バンコマイシン塩酸塩による治療及びTDMに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- この患者では、腎機能の低下により、半減期が延長している。
- 肝毒性の発現を回避するため、バンコマイシンのトラフ値は20μg/mL以下にすることが推奨されている。
- 治療効果の指標として、最高血中濃度/MICを用いる。
- レッドネック症候群を予防するために、1時間以上かけて点滴する。
- この患者では、アルブミンが大量に尿中へ漏出しているため、タンパク結合率が低下している。
解 1, 4
問275
2回目投与直前のバンコマイシンの血中濃度が10μg/mLとなることを想定し、バンコマイシン塩酸塩の初回負荷投与を行いたい。
また、定常状態におけるトラフ値を15μg/mLとしたい。
バンコマイシンの負荷投与量と維持投与量の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。
ただし、投与量の計算において、投与に要する時間は投与間隔に対して無視できるほど短いものとし、投与中における体内からのバンコマイシンの消失は無視できるものとする。
解 4
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