スポンサーリンク
第103回 問216-225
問216-217
45歳女性。4年前、2型糖尿病と診断され、グリメピリド錠とボグリボース錠による薬物治療を開始した。
最近の検査の結果より、主治医は以下の薬剤を追加した。
患者はその処方箋を薬局に持参した。
(処方)
イプラグリフロジンL-プロリン錠50mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 14日分
問216
追加されたイプラグリフロジンは、Na+/グルコース共輸送体(SGLT)のうち、SGLT2 の選択的阻害薬である。SGLT 及びグルコース輸送体(GLUT)によるグルコース輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- SGLT2 は、主に消化管におけるグルコースの吸収に関与する。
- 細胞膜にある GLUT によるグルコースの輸送は、グルコースの濃度勾配に従う。
- SGLT2 は、Na+ の濃度勾配を利用してグルコースを輸送する。
- GLUT は、グルコースと同様にマルトースを輸送する。
- 血液中のグルコースは、尿細管において SGLT2 によって原尿中に分泌される。
解 2,3
問217
SGLT2 選択的阻害薬の副作用として誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 低血糖
- 尿路感染症
- 脱水
- 血圧上昇
- 体重減少
解 解なし
問218-219
50歳男性。糖尿病(グリメピリド錠にて加療中)。10年前にS状結腸がんⅠ期T1軽度浸潤と診断され、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を受けた。
定期検診のため、かかりつけ医を受診し、以下の投薬指示が出された。
(投薬)
経口腸管洗浄剤(注)1袋(1袋を水に溶解して約2Lとし、溶解液とする)
前日21時より絶食し、検査当日7時より溶解液2Lを1時間あたり約1Lの速度で経口投与。
注:1袋を水に溶解して2Lとした溶解液の電解質濃度はNa+125mEq/L、K+10mEq/L、Cl-35mEq/L、HCO3-20mEq/L、SO4-80mEq/Lである。
pHは約8.0、浸透圧比は約1である。
問218
この経口腸管洗浄剤は等張な電解質溶液であり、大腸の機能を利用した薬剤である。大腸の機能に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 大腸の粘膜には絨毛があり、そこから栄養の吸収が行われる。
- 大腸では水は吸収されるが、電解質は吸収されない。
- 結腸粘膜での水の吸収は、Na+ の能動輸送で生じる浸透圧差により起こる。
- 大腸の運動は、副交感神経の興奮により抑制される。
- 大腸の内容物の肛門側への移送には、ぜん動運動が関わる。
解 3,5
問219
この経口腸管洗浄剤を服用するにあたり、患者に対して薬剤師が服薬指導する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 可能であるならば、 1 時間あたり 2 L の速度で服用してもかまいません。
- 服用しにくい場合でも、他の飲料水と一緒に服用しないでください。
- 2 L の溶解液が多いと感じる場合、 1 袋を水に溶解して約 2 L とし、服用してもかまいません。
- 服用中に腹痛の症状が現れた場合には、服用を中止し、ただちに受診してください。
- グリメピリド錠は、本剤と同時に服用してもかまいません。
解 2,4
問220-221
48歳女性。既往歴 乳がん、StageⅠ。2年前の術後より再発予防の目的で以下の処方にてホルモン療法を受けている。
(処方)
タモキシフェン錠20mg 1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 90日分
問220
タモキシフェンの代謝に関わる CYP₂D₆ には、その酵素活性に変化をきたす遺伝子多型が多数知られている。図はその一部の多型と乳がん術後タモキシフェンの単剤治療症例における無再発生存率との関連性を示している。遺伝子多型に関する記述及び図の解釈として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 遺伝子多型には、 1 つの塩基が他の塩基に置き換わっているものがある。
- 翻訳されるタンパク質のアミノ酸配列は、翻訳領域においてフレームシフト変異した遺伝子とその野生型遺伝子では異なる。
- PCR 法を利用することで、CYP2D6 の遺伝子変異を検出することができる。
- 変異型遺伝子をホモでもつ症例[CYP2D6(*10/*10)]では、野生型遺伝子をホモでもつ症例[CYP2D6(wt/wt)]と比べて、タモキシフェンの代謝が減弱していると考察される。
- グリメピリド錠は、本剤と同時に服用してもかまいません。
解 5
問221
この患者は、最近、精神的に不安定となり、不安発作が頻回になった。本症状の改善のための処方追加を検討するにあたり、タモキシフェンとの併用の観点から問題となる薬物について医師から問い合わせがあった。本症例に対して併用を注意すべき薬物はどれか。1つ選べ。
- セチプチリンマレイン酸塩
- ミルナシプラン塩酸塩
- パロキセチン塩酸塩水和物
- ロラゼパム
- ロルメタゼパム
解 3
問222-225
50 歳男性。薬局に処方箋とお薬手帳を持参した。初回面談の際、屋外でのスポーツやレジャーに使用する日焼け止めの相談があった。この男性は、今まで日焼け止めを使用したことがなく、海水浴の後は肌が赤くなり、ほてりや痛みを感じ、水疱ができるとのことであった。
問222
紫外線が皮膚に及ぼす影響を考慮し、薬剤師がこの男性に説明する内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。なお、薬局では下記の商品①~④を取りそろえている。SPF(Sun Protection Factor)及び PA(Protection Grade of UVA)は紫外線防止の指標であり、その効果を数字及び記号(+)で表している。
- 海水浴後に肌が赤くなる原因は、主に紫外線 A 波(UVA)によるものです。
- PA は、UVA 防止効果の指標です。
- SPF の数字が大きいものは、小さいものに比べて高い紫外線 B 波(UVB)防止効果が期待されます。
- 日焼けを防止する成分には、大きく分けて紫外線を吸収するものと紫外線を散乱させるものがあります。
- 炎天下で長時間スポーツをする際には、①よりも④をお勧めします。
解 1
問223
この男性が海水浴の際に経験した皮膚症状を含め、日焼けに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 海水浴後に生じる紅斑には、炎症性メディエーターによる血管収縮が関わる。
- 紫外線曝露による色素沈着は、主として肥満細胞におけるメラニンの産生増強による。
- メラニンは、チロシンから生合成される。
- 色素沈着は、通常、紅斑・水疱が生じる前に起こる。
- 紫外線曝露は、DNA 鎖上にピリミジン二量体を生じさせる。
解 3,5
問224
この男性が持参したお薬手帳には、ケトプロフェンにて光線過敏症を起こしたことがあるとの記載があった。この男性が持参した処方箋に 1 ~ 5 のいずれかの薬剤が記載されていた場合に、ケトプロフェンと同様に光線過敏症を引き起こす可能性があり、注意を要する医薬品はどれか。1つ選べ。
解 2又は5
問225
光線過敏症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- すべての光線過敏症は、ガラス窓の内側にいれば防ぐことができる。
- 春先に採取されるアワビの中腸腺には、光線過敏症の原因となるフェオフォルビドが蓄積することがある。
- 光線過敏症は、宇宙から地上に降り注いでいる UVC が主原因である。
- ケトプロフェンによる光線過敏症では、光エネルギーにより薬剤中のベンゾフェノン部分が反応し、抗原物質になると考えられる。
- 着色料の二酸化チタンは光線過敏症を起こすので、現在食品添加物として使用されていない。
解 2,4
次の問題(問226-235)へ 第103回 過去問一覧 目次へ