◎生物 第102回

薬剤師国家試験 過去問 第102回【生物】薬学理論問題 問111-120



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第102回 問111-120

問111

下図は心臓の洞房結節の活動電位波形である。これに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 交感神経の興奮により静止膜電位が低下し、心拍数が変化する。
  2. 4相での変化は、Na울チャネルの開口による細胞内への Na+流入に起因する。
  3. 0相での変化は、L型 Ca2+チャネルの開口による細胞内への Ca2+流入に起因する。
  4. 3相での変化は、K울チャネルの開口による細胞外への K울流出に起因する。
  5. 3相での変化が、心室筋の弛緩を起こす。

 

 

 

 

 

 

解 3,4

 

問112

下図は自律神経系(交感神経系、副交感神経系)の遠心路の模式図である。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。ただし、図中の神経系A、神経系B、神経系Cは交感神経系あるいは副交感神経系のいずれかを示す。

 

  1. 神経系Aは、副交感神経系である。
  2. 神経系Aの興奮により、大部分の血管平滑筋が収縮する。
  3. 神経系Bの節前線維は、主に胸髄及び腰髄の側角から発する。
  4. 神経系Bの興奮時には、瞳孔括約筋が収縮して、縮瞳が起こる。
  5. 神経系Cの神経終末からノルアドレナリンが放出される。

 

 

 

 

 

 

解  1,3

 

問113

ヒトの体内で働くタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 膵臓から分泌されるキモトリプシンは、タンパク質のC末端から順次アミノ酸を遊離する。
  2. トリプシンの触媒作用には、その活性部位にあるセリン残基が関与する。
  3. トリプシノーゲンは、十二指腸上皮細胞から分泌されるエンテロペプチダーゼ(エンテロキナーゼともよばれる)により小腸内でトリプシンに変換される。
  4. アンチトロンビン は、主として血管内皮細胞から分泌され、トロンビンの活性を阻害する。
  5. 組織プラスミノーゲンアクチベーターは、血液凝固反応で形成されたフィブリンの分解反応を触媒する。

 

 

 

 

 

 

解 2,3

 

問114

下図は、ヒトの尿素回路(オルニチン回路)の概略を示している。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ①と②の反応では、ATPが消費される。
  2. ②の反応は、この回路の律速段階である。
  3. 化合物Aは、一酸化窒素(NO)合成酵素の基質となる。
  4. NH3の窒素原子は、この回路により化合物Bに組み込まれる。
  5. この回路の一部の反応はペルオキシソーム内で行われるが、それ以外は細胞質で行われる。

 

 

 

 

 

 

解 1,4

 

問115

ピリミジンヌクレオチドの代謝に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。

  1. ピリミジン骨格の生合成には、グルタミンとアスパラギン酸が利用される。
  2. ピリミジンヌクレオチドの生合成は、最終産物のシチジン 5ʼ-三リン酸(CTP)によりフィードバック阻害される。
  3. デオキシウリジン 5ʼ-一リン酸(dUMP)からデオキシチミジン 5ʼ-一リン酸(dTMP) の生合成において、S-アデノシルメチオニンがメチル基供与体として働く。
  4. ピリミジンヌクレオチドの分解により、尿酸が生成される。

 

 

 

 

 

 

解  1,2

 

問116

真核細胞における mRNAからタンパク質への翻訳過程に関する記述について、誤っているのはどれか。2つ選べ。

  1. 翻訳過程は、開始、伸長及び終結の3段階の反応により完結する。
  2. 遺伝子の転写反応が完結する前に、翻訳開始反応が起こる。
  3. 翻訳開始反応は、mRNAの 5ʼ末端側から 3ʼ末端側の方向に進行する。
  4. リボソームがもつぺプチジルトランスフェラーゼ活性により、ペプチド鎖伸長反応が起こる。
  5. アミノアシル tRNAの生成には、ATPのエネルギーを利用してアミノ酸が活性化される必要がある。

 

 

 

 

 

 

解 2

 

問117

マウスのある細胞において、タンパク質(ア)及び(イ)の産生は転写因子Xにより調節されている。両タンパク質の産生に対するその転写因子の機能を明らかにするため、以下の siRNA(低分子干渉 RNA)導入実験を行った。実験方法、原理と考察に関する記述のうち、適切なのはどれか。 2つ選べ。

【実験】 転写因子Xに対する siRNAを導入しない細胞A及び導入した細胞Bを 24時間培養した。その後、細胞を破壊し、全タンパク質を回収して、それぞれ試料A及びBとした。同一タンパク質量の試料A及びBを用いて SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、分離されたゲル中のタンパク質をニトロセルロース膜に転写した。次に、そのニトロセルロース膜においてタンパク質(ア)及び(イ)に対する特異的抗体を用いた抗原抗体反応を行った。その結果、図のようにそれぞれのタンパク質に特異的なバンド(黒色)を検出した。なお、実験に用いた siRNAは特異的に転写因子Xの mRNAをノックダウンすること、そのノックダウン効果は培養 24時間の時点で最大となること、さらにタンパク質(ア)及び(イ)のニトロセルロース膜への転写効率に差がないことを確認している。

  1. 転写因子Xの遺伝子が存在する染色体が、導入された siRNAにより破壊される。
  2. 図は、サザンブロット法を用いて得られた結果である。
  3. 転写因子Xは、タンパク質(ア)をコードする遺伝子の転写を抑制的に調節していると考察される。
  4. タンパク質(イ)の産生は、転写因子Xにより抑制的に調節されると考察される。
  5. 転写因子Xの siRNAによるノックダウン効果は、細胞Bをさらに培養することにより減弱すると予想される。

 

 

 

 

 

 

解 3,5

 

問118

免疫系における胸腺の役割に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。

  1. T細胞の前駆細胞は骨髄で作られた後、胸腺に移動して分化・成熟する。
  2. 胸腺において、T細胞抗原受容体の遺伝子の再構成が起こる。
  3. 胸腺は、成人において造血が行われる主要な器官である。
  4. 胸腺は、二次リンパ器官の一つである。
  5. B細胞は主として胸腺で産生され、リンパ節で分化・成熟する。

 

 

 

 

 

 

解 1,2

 

問 119

移植片拒絶反応について調べるため、2種類の近交系のマウス(A/AB/B)を用いて、下記のような交配を行った。これらのマウスを用いて皮膚の移植実験を行った。以下に実験結果を示す。なお、A/AA/B 及び B/B は組織適合抗原の遺伝子型を表している。

[交配手順]
A/A の親マウスと B/B の親マウス間で交配し、雑種第一代(F1)マウスを得た。
② F1マウス同士を交配して雑種第二代(F1)マウスを得た。

[実験結果]
A/A の親マウス同士の移植、B/B の親マウス同士の移植は常に成立した。
A/A の親マウスと B/B の親マウスの間の移植は常に失敗した。

以上の移植実験結果に基づき、移植が常に成立すると予想されるのはどれか。2つ選べ。

  1. A/A の親マウスから、F1マウスへの移植
  2. F1マウスから、A/A の親マウスへの移植
  3. A/A の親マウスから、F2マウスへの移植
  4. F1マウスから、B/B の親マウスへの移植
  5. F2マウスから、F1マウスへの移植

 

 

 

 

 

 

解  1,5

 

問120

細菌の毒素に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。

  1. 腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素は、宿主細胞のタンパク質合成を阻害する。
  2. コレラ毒素は、宿主の神経筋接合部でのアセチルコリンの遊離を抑制し、筋肉の麻痺を引き起こす。
  3. ボツリヌス毒素は、宿主細胞内でアデニル酸シクラーゼを活性化し、サイクリック AMP濃度の上昇をもたらす。
  4. グラム陰性菌の内毒素(エンドトキシン)は、外膜に存在するリポ多糖である。

 

 

 

 

 

 

解 1,4

 

 

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