薬理

押さえておきたい「SSRIー選択的セロトニン再取り込み阻害ー」【薬理】



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選択的セロトニン再取り込み阻害薬のポイント

選択的セロトニン再取り込み阻害薬で押さえておきたいポイントは2つあります。

それは「作用機序(適応)」と「副作用」です。

薬理の問題の多くは、この2つに集約されています。

 

作用機序(適応)

作用機序は名前のごとく、セロトニントランスポーター阻害によるセロトニン作動性神経系の活性化作用を持ちます。

適応は抗うつ薬であり、強迫性障害、社会不安症、外傷後ストレス障害です。

 

副作用

どの薬剤も共通する副作用は、セロトニン症候群悪性症候群です。

 

セロトニン症候群

セロトニン症候群は、セロトニンが多くなりすぎて起こる副作用です。

  • 精神症状 「不安」、「混乱する」、「いらいらする」 、「興奮する」
  • 錐体外路症状 「動き回る」、「手足が勝手に動く」、「眼が勝手に動く」、「震える」、「体が固くなる」
  • 自律神経症状 「汗をかく」、「発熱」、「下痢」、「脈が速くなる」 

(厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル より)

 

悪性症候群

悪性症候群は、脳内のドパミン濃度の上昇とされていますが、詳しいメカニズムは不明です。

  • 高熱・発汗、意識のくもり
  • 錐体外路症状 「手足の震えや身体のこわばり」、「言葉の話しづらさやよだれ」、「食べ物や水分の飲み込みにくさなど」
  • 自律神経症状 「頻脈」、「頻呼吸」、「血圧の上昇」など
  • 横紋筋融解症 「筋肉組織の障害」「筋肉の傷み」など
  • 治療にはダントロレンが用いられる 

(厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル より)

 

セロトニン症候群と悪性症候群の症状は似ていますが、それぞれの副作用も国家試験では重要なので押さえておいてください。

 

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)一覧

  • フルボキサミン
  • パロキセチン
  • セルトラリン
  • エスシタロプラム

 

過去5年間の出題傾向

103回問221  パロキセチン
102回 
101回問288-289 セルトラリン
100回問156 パロキセチン、問296 セルトラリン
99回問258 パロキセチン

上記を見ますと、パロキセチンが最も出題頻度として多くなっています。

また出題傾向としては、三環系抗うつ薬やSNRIとのひっかけ(複合)問題が多いです。

覚える内容も多くありませんし、5年間で5問出題していますので、必ず押さえておく必要があると思います。

 

過去問を解いてみよう!

101回 問288-289 

60歳男性。2年前にうつ病と診断され、薬物治療を行ってきた。ここ数ヶ月、仕事が多忙になり、気分の落ち込みが激しくなった。

本日受診した結果、主治医はこれまでの抗うつ薬を1錠から2錠に増量した。

(処方)

セルトラリン塩酸塩錠25㎎       1回2錠(1日2錠)

1日1回 夕食後 14日分

 

問288

以下のうち、この患者において注意すべき重大な副作用はどれか。1つ選べ。

  1. 腎不全
  2. セロトニン症候群
  3. 間質性肺炎
  4. 橫紋筋融解症
  5. 無菌性髓膜炎

 

問289

薬局薬剤師が、前問の重大な副作用を早期発見するために患者にあらかじめ説明する事項として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 高熱が出るようでしたら、お知らせください。
  2. 下痢を起こすようでしたら、お知らせください。
  3. 手足が勝手に動くことがあれば、お知らせください。
  4. 不安やいらいらが高まるようであれば、お知らせください。
  5. 手にビリビリする感覚や、やけどしたときのような痛みがあれば、お知らせください。

 

 

 

 

 

解 問288→2、問289→5

 

99回 問258-259

 30歳男性。会社内昇格人事で1年前に営業職のリーダーを命じられた。リーダーとしての仕事に順応できず、ストレスを抱え、入眠困難、食欲低下が半年続いた。

今回かかりつけのクリニックを受診し、軽症のうつ病と診断された。主治医より、治療薬について問い合わせがあった。

 

問258

主治医に推奨すべき薬剤の成分はどれか。2つ選べ。

  1. パロキセチン塩酸塩水和物
  2. クロザピン
  3. イフェンプロジル酒石酸塩
  4. ミルタザピン
  5. ラモトリギン

 

問259

前問で推奨した成分の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. Na+チャネル遮断による神経興奮の抑制
  2. Cl-チャネル遮断によるGABA作動性神経系の抑制
  3. セロトニントランスポーター阻害によるセロトニン作動性神経系の活性化
  4. ノルアドレナリントランスポーター阻害によるノルアドレナリン作動性神経系の活性化
  5. シナプス前部のアドレナリンα2受容体遮断によるセロトニンとノルアドレナリンの放出促進

 

 

 

 

 

解 問258→1・4、問259→3・5

 

98回 問31

選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害により抗うつ作用を示すのはどれか。1つ選べ。

  1. パロキセチン
  2. ミアンセリン
  3. アモキサピン
  4. トラゾドン
  5. ミルナシプラン

 

 

 

 

 

解 5

 

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