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第104回 問256-267
問256-257
76 歳男性。軽度の認知症、糖尿病、高血圧、うつ病のため、以下の処方薬を常用している。 1 年前から頻尿、残尿感及び排尿困難感があったが放置していた。風邪気味であったため、 2 日前に自宅の常備薬である市販の総合感冒薬を服用した。昨日の昼から尿がほとんど出なくなったため、かかりつけ薬剤師に相談に来た。
また、総合感冒薬に含まれている成分は以下のとおりである。
アセトアミノフェン
d−クロルフェニラミンマレイン酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩
dl−メチルエフェドリン塩酸塩
無水カフェイン
問256
この患者が常用している処方薬の中で、この総合感冒薬と併用すると排尿障害が増悪する可能性の高い薬剤はどれか。1つ選べ。
- カンデサルタン口腔内崩壊錠
- シタグリプチンリン酸塩水和物錠
- イミプラミン塩酸塩錠
- ボグリボース錠
- リバスチグミン経皮吸収型製剤
解 3
問257
前問で選択した薬物と総合感冒薬に含まれている 1 成分は同一の作用機序で、この患者の排尿障害を増悪させた。その機序として正しいのはどれか。1つ選べ。
- 膀胱括約筋のアドレナリン α1A 受容体刺激
- 膀胱括約筋のアドレナリン α1D 受容体刺激
- 排尿筋のアドレナリン β3 受容体刺激
- 下部尿道括約筋のアドレナリン β2 受容体刺激
- 排尿筋のムスカリン性アセチルコリン M3 受容体遮断
解 5
問258-259
63 歳男性。根治切除不能な悪性黒色腫と診断され、外来化学療法でニボルマブが投与されることになった。薬剤師が初回投与時に患者のもとを訪れ、抗がん薬の特徴や注意すべき副作用の説明を行うことになった。
問258
ニボルマブの市販後に報告されている以下の副作用のうち、その作用機序から考えて、間接的に生じると思われる副作用として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 間質性肺炎
- 低血糖
- 重症筋無力症
- 下痢
- 甲状腺機能障害
解 2
問259
ニボルマブは別の薬物を併用すると作用増強が現れる。理論的に考えて、同一細胞における別の標的分子に働くことで、ニボルマブと相乗作用を示すと考えられる併用薬の作用点として適切なのはどれか。1つ選べ。
- RANKL(NF−lB 活性化受容体リガンド)
- CD20
- CTLA−4(細胞傷害性 T リンパ球抗原−4)
- VEGFR2 (血管内皮増殖因子受容体 2 型)
- HER2 (ヒト上皮増殖因子受容体 2 型)
解 3
問260-261
58 歳男性。高血圧症と脂質異常症の既往歴がある。 ₁ 年前に頸動脈狭窄症を発症し、ステント留置術が施行された。今回、狭窄の状態を精査するために検査入院となった。病棟担当薬剤師が、患者に対して初回面談を行ったところ、「再発が怖いので、お医者さんから出された薬は毎日欠かさず飲んでいます。ただ、 3 日前からみぞおち付近に軽い痛みを感じて、便も黒い色をしています。」との情報を得た。病棟担当薬剤師は、この状況を主治医に報告し、薬物を 1 種類追加することを提案した。
問260
提案すべき薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ラベプラゾールナトリウム
- チクロピジン塩酸塩
- タンニン酸アルブミン
- ロキソプロフェンナトリウム水和物
- メピバカイン塩酸塩
解 1
問261
前問で提案すべき併用薬物の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 副交感神経節後線維の神経終末からのアセチルコリン遊離を抑制することで、胃の蠕動運動を抑える。
- ADP 受容体遮断により血小板凝集を促進することで、出血を抑える。
- シクロオキシゲナーゼ阻害により炎症反応を抑制することで、痛みを抑える。
- H+,K+−ATPase 阻害により胃酸分泌を抑制することで、消化性潰瘍の増悪を抑える。
- Na+ チャネル阻害により知覚神経伝達を抑制することで、痛みを抑える。
解 4
問262
半年経過後、胃部不快感、嘔気を自覚するようになった。半年間、薬の服用に変更はない。胃の内視鏡検査を施行したところ、早期胃がんが発見されたため、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を実施することになった。ESD は大出血のリスクは小さいが、出血の頻度が高い処置である。主治医は患者の既往歴を考慮し、抗血栓薬は継続したいと考えている。そこで、周術期の抗血栓療法について薬剤師に相談があった。この患者の抗血栓薬の中止・継続・代替療法について適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、ESD 当日は休薬することとする。
- クロピドグレル錠とアスピリン腸溶錠は ESD 前日まで継続する。
- クロピドグレル錠は 7 日前から休薬し、アスピリン腸溶錠は継続する。
- アスピリン腸溶錠を 7 日前からダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセルに変更する。
- クロピドグレル錠を 7 日前からシロスタゾール錠に変更する。
- クロピドグレル錠とアスピリン腸溶錠を 14 日前からヘパリンナトリウム持続点滴に変更する。
解 2
問263
前問の選択肢 1 ~ 5 に挙げた薬物の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- クロピドグレルの活性代謝物は、ADP P₂Y12 受容体を不可逆的に遮断する。
- シロスタゾールは、ホスホジエステラーゼⅤを選択的に阻害する。
- 低用量のアスピリンは、血管内皮細胞のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を阻害しにくいため、プロスタグランジン I2(PGI2)の産生は抑制されない。
- ヘパリンは、内因性のトロンボモジュリンによる血液凝固因子の不活性化作用を促進する。
- ダビガトランは、第 Xa 因子に結合してその活性を阻害することで、プロトロ
ンビンからトロンビンへの変換を抑制する。
解 1, 3
問264-267
58 歳男性。糖尿病の診断を受け近医で薬物療法を継続していたが、定期的に受診せず、アドヒアランスも良好ではなかった。今回、吐き気、食欲不振、呼吸困難を訴え受診したところ、重症の尿毒症のため入院となった。血液検査の結果は以下のとおりであった。
検査値: 体表面積未補正 eGFR 14.6 mL/min、HbA1c 7.7%(NGSP 値)、
ALT 14 IU/L、AST 22 IU/L
お薬手帳を確認したところ、以下の薬剤が処方されていた。尿毒症の治療を開始
するとともに、退院に向けて本剤を中止し、代替薬を検討することになった。
問264
カンファレンスにおいて薬剤師は、体表面積未補正 eGFR が異なる 2 つの群に対し、メトホルミン塩酸塩錠 500 mg を経口単回投与した時の腎クリアランス及び血中濃度時間曲線下面積(AUC)をまとめた表を示した。表に基づいた説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。ただし、いずれの群も、メトホルミンのバイオアベイラビリティは 60%とし、血漿タンパク結合は無視できるものとする。
- メトホルミンは、主に糸球体ろ過によって腎臓から排泄されます。
- この患者におけるメトホルミンの全身クリアランスは、約 170 mL/min と予想されます。
- この患者におけるメトホルミンの尿中排泄率は、腎機能正常者の約 1/3 と予想されます。
- 処方どおりに服用し続けた場合、この患者におけるメトホルミンの平均血中濃度は腎機能正常者の約 3 倍になると予想されます。
- この患者が処方どおりに服用し続けた場合、メトホルミンの平均血中濃度は約10 っµg/mL と予想されます。
解 2, 4
問265
この患者がメトホルミンを処方どおりに服用し続けた場合、起こり得る副作用と
その機序の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
解 1
問266
代替薬を提案するにあたり、医薬品インタビューフォームから得られた情報を参考に、薬剤師は候補薬のリストを作成した。リストの内容に基づいて提案する薬剤として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ピオグリタゾン錠
- ナテグリニド錠
- グリメピリド錠
- シタグリプチン錠
- リナグリプチン錠
解 5
問267
前問で選んだ薬剤について、薬剤師が患者に行う説明として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 尿に糖を出す薬です。
- 消化管からの糖の吸収を抑える薬です。
- インスリンの分解を抑える薬です。
- 肝臓で糖ができるのを抑える薬です。
- 血糖値に応じてインスリンの分泌を促進する薬です。
解 5
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