◎薬理 ◎実務 第104回

薬剤師国家試験 過去問 第104回【薬理/実務】薬学実践問題 問246-255



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第104回 問246-255

問246-247

42 歳女性。 5 年前に出産後、しばしば複視が出現した。他の症状は認められなかったが、 2 年経過後、眼瞼下垂、四肢の疲労感が出現し始めた。半年前からは、夕方になると増悪し、台所仕事ができない、しゃべりにくいなどの症状が出現したため、近医を受診した。血液検査で抗アセチルコリン受容体抗体の値が23 nmol/L(正常値 0.0 − 0.2 nmol/L)であり、重症筋無力症と診断され、治療開始となった。

ピリドスチグミン臭化物錠 60 mg の内服を開始後、 3 日目の早朝から体調不良を訴え、救急外来を受診した。医師は投与量の妥当性を確認するために、注射剤としてエドロホニウム塩化物 2 mg を投与したところ、発汗、腹痛などの症状が増悪した。

 

問246

発汗、腹痛などの症状の改善及び今後の治療継続に必要なのはどれか。2つ選べ。

  1. エドロホニウム塩化物注射液の追加投与
  2. ピリドスチグミン臭化物錠の減量
  3. ネオスチグミンメチル硫酸塩注射液の追加投与
  4. ピリドスチグミン臭化物錠の増量
  5. アトロピン硫酸塩注射液の追加投与

 

 

 

 

 

解   2, 5

 

問247

前問で選択した治療処置により、患者の症状は緩和された。この症状が緩和される機序はどれか。2つ選べ。

  1. アセチルコリンの濃度の上昇
  2. アセチルコリンの濃度の低下
  3. ムスカリン性アセチルコリン受容体における競合的拮抗
  4. ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作
  5. アセチルコリンエステラーゼの阻害

 

 

 

 

 

解    2, 3

 

問248-249

77 歳女性。下記の眼科の処方箋を薬局で応需した。持参したお薬手帳には、他院で処方され現在服用中の内容が記載されていた。さらに患者にどんな病気で薬を服用しているのかインタビューをしたところ、処方医への問合せが必要になった。

 

問248

患者へのインタビュー及びお薬手帳に記載されている薬剤から判明した患者の既往症に対して今回処方された薬剤が禁忌となるため、今回処方した眼科医へ問合せが必要となった。このような判断に至ったお薬手帳記載の薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. ランソプラゾール口腔内崩壊錠 15 mg
  2. 酸化マグネシウム細粒 83%
  3. アトルバスタチン錠 10 mg
  4. ワルファリン K 錠 1 mg
  5. ベクロメタゾンプロピオン酸エステル 100 µg 吸入用エアゾール

 

 

 

 

 

解  5

 

問249

前問で問合せをする根拠に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. プロスタノイド受容体遮断作用によって胃潰瘍を悪化させる。
  2. 浸透圧利尿作用によって血圧を低下させる。
  3. Rho キナーゼ阻害作用によって脳血栓症の悪化を引き起こす。
  4. アドレナリン β2 受容体遮断作用によって気管支喘息を悪化させる。
  5. 炭酸脱水酵素阻害作用によって腎障害を悪化させるおそれがある。

 

 

 

 

 

解  4

 

問250-251

75 歳男性。 7 年前にパーキンソン病と診断され、レボドパ・ベンセラジド塩酸塩配合錠の投与によって日常生活は問題のないレベルを維持してきた。胃がんの手術のため外科病棟に入院したところ、この配合錠を正しく服用しているにもかかわらず、症状の日内変動(wearing−off 現象)が認められるようになった。

 

問250

外科の主治医から病棟担当薬剤師に、wearing−off の治療に関する相談があり、一剤追加することになった。提案すべき併用薬物として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. トリヘキシフェニジル塩酸塩
  2. イストラデフィリン
  3. ドロキシドパ
  4. ビペリデン塩酸塩
  5. エンタカポン

 

 

 

 

 

解    2, 5

 

問251

前問で提案すべき併用薬物の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 線条体において、アデノシン A2A 受容体を遮断する。
  2. 線条体において、ドパミン D2 受容体を遮断する。
  3. 芳香族 L−アミノ酸脱炭酸酵素によりノルアドレナリンに変換され、脳内のノルアドレナリンを補充する。
  4. 主に末梢において、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害し、レボドパの代謝を抑制する。
  5. 線条体において、ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断する。

 

 

 

 

 

解    1, 4

 

問252-253

79 歳女性。この 3 年間、心不全(NYHA Ⅲ度)に対して同一の薬剤で薬物治療を行ってきた。この度、体動時の息切れがひどくなり、精査加療のために入院となった。検査の結果、体液貯留と浮腫の増悪が認められた。カンファレンスで薬物治療が再検討され、新たに 1 つの薬剤が追加となった。検討後の処方内容は以下のとおりである。

 

問252

追加された薬剤の投与開始日から、頻回に測定する必要性が最も高い検査値はどれか。1つ選べ。

  1. 血清ナトリウム濃度
  2. 血清カリウム濃度
  3. 血清クレアチニン値
  4. 血清アルブミン値
  5. PT−INR 値

 

 

 

 

 

解    1

 

問253

この患者の背景から新たに追加された薬物の作用機序を踏まえ、前問の検査値を測定する理由として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. バソプレシン V2 受容体を遮断することで、電解質の排泄を伴わない利尿効果が現れ、高ナトリウム血症を引き起こす可能性がある。
  2. アルドステロン受容体を遮断することで、K+ の排泄が抑制され、高カリウム血症を引き起こす可能性がある。
  3. アンジオテンシンⅡ AT1 受容体を遮断することで、血清クレアチニン値の上昇を特徴とする腎機能障害を引き起こす可能性がある。
  4. ヘンレ係蹄上行脚の Na+/K+/2Cl- 共輸送系を阻害することで、血清アルブミン値の低下を特徴とするネフローゼ症候群を引き起こす可能性がある。
  5. ビタミン K の作用に拮抗することで、プロトロンビン時間が延長し、出血のリスクが高まる可能性がある。

 

 

 

 

 

解    1

 

問254-255

38 歳女性。乳がん検診で腫瘤を指摘され、精査のため来院した。右乳房外側の腫瘤の針生検の結果、ER( 2+)、PgR(+)、HER2 ( 1+)、Ki-67 11%であり、pT1b の乳がんと診断された。腫瘤径は 1 cm だったため、乳房温存術(リンパ節郭清なし)が実施された。患者は閉経前であることが確認されている。

 

問254

この患者の術後治療に使用される抗がん薬として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. タモキシフェンクエン酸塩
  2. フルベストラント
  3. アナストロゾール
  4. トラスツズマブ
  5. ドセタキセル水和物

 

 

 

 

 

解    1

 

問255

前問で適切と考えられた術後治療に使用される薬物の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. HER2(ヒト上皮増殖因子受容体 ₂ 型)に特異的に結合し、HER₂ シグナル伝達阻害作用と抗体依存性細胞傷害作用を示す。
  2. アロマターゼを阻害することで、アンドロゲンからエストロゲンの生成を阻害する。
  3. 微小管と結合し、安定化させることで脱重合を阻害する。
  4. 子宮内膜のエストロゲン受容体に対して刺激作用を示し、乳腺のエストロゲン受容体においてエストロゲンに対して拮抗作用を示す。
  5. GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)受容体に対して刺激作用を示す。

 

 

 

 

 

解    4

 

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