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第104回 薬学理論問題 問226-235
問226-227
58 歳 男 性。 健 康 診 断 の 結 果 が、 体 重 72 kg、 血 清 ク レ ア チ ニ ン 値1.0 mg/dL、BUN 20 mg/dL、 空 腹 時 血 糖 値 122 mg/dL、HbA1c(NGSP 値)6.5%、BMI 25.6 であったため、かかりつけ医を受診した。かかりつけ医での検査の結果、耐糖能異常と診断され、食事療法と運動療法を開始した。仕事上、夜勤があり、食生活が不規則で十分な改善効果が得られなかったため、以下の薬剤を処方され薬局を訪れた。患者は、この薬剤の服用は初めてで、服用方法や副作用について不安を抱いている様子であった。
問226
薬剤師がこの患者に行う服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
- おならが増えたり、下痢をしたりすることがありますが、症状が軽度の場合は心配せず続けて服用してください。
- この薬で腎臓の働きが悪くなることがありますので、尿量が減少した場合はお知らせください。
- この薬で低血糖症状が起きた時は、砂糖では改善効果が低いのでブドウ糖を摂取してください。
- この薬を食直前に飲めなかった場合は、食間でも同様の効果がありますので、食後 2 時間を目安に飲んでください。
- この薬は舌の下で溶かして口の中で吸収させる薬なので、水で飲み込まないでください。
解 1, 3
問227
前問の服薬指導の根拠となる糖質の消化・吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- マルトースは、グルコースよりも小腸からの吸収効率が高い。
- マルターゼは、α-グルコシダーゼである。
- スクロースは、グルコースとフルクトースが α1 → 4 結合したものである。
- 二糖類が消化されずに小腸管腔内に滞留すると、浸透圧性の下痢を起こしやすくなる。
- ボグリボースは、ラクトースの分解を阻害する。
解 2, 4
問228-229
15 歳女性。身長 150 cm、体重 29 kg。精神的ストレスから最近 6 ヶ月で10 kg の体重減少があり、月経もない。診察の結果、神経性無食欲症(拒食症)と診断された。特に最近 3 週間はほとんど食事を摂っておらず意識障害を生じたため、両親に伴われ来院し、緊急入院となった。入院後も食事に強い拒否を示したため、NST(栄養サポートチーム)の管理下で中心静脈栄養法を行うこととなった。
問228
入院直前のこの患者の栄養状態に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。15 歳女性の基礎代謝基準値(kcal/kg 体重/日)を 25 とする。
- 基礎代謝量は、同性、同年代の健常人に比べ高い値を示している。
- 身体を構成するタンパク質の分解により生成した糖原性アミノ酸からの糖新生が亢進している。
- 脂肪酸の分解により生成したアセチル CoA からのケトン体の合成が亢進している。
- コレステロールもエネルギー産生に利用されている。
- 体重が 40 kg に回復した場合、身体活動度を 1.5 とすると、推定エネルギー必要量は 2,000 kcal/日となる。
解 2, 3
問229
この患者に行う中心静脈栄養法及びその注意事項として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- 投与エネルギー量は、2,000 kcal/日から開始する。
- 輸液にビタミン B1 を添加する。
- 栄養補給後の血清リン濃度の低下に注意し、低下傾向が見られた場合、速やかにリン酸製剤の投与を実施する。
- 必要に応じて亜鉛などの微量元素の補充を行う。
- 患者の様子を見ながら、経腸あるいは経口での栄養補給に変更していく。
解 1
問230-231
28 歳女性。 8 月 10 日の夜間に下痢、発熱、腹痛を訴えて救急外来を受診した。医師が問診したところ、同日の昼間に料理教室で卵を用いた洋生菓子を作り、それを食べたとのことであった。一緒に料理教室に行った友人 5 人も同じ物を食べ、同じ症状を訴えているという。問診の結果から、医師は細菌性食中毒を疑い抗菌薬を投与することにした。
問230
患者の受診当日、医師は、処方可能な経口抗菌剤について薬剤師にアドバイスを求めた。薬剤師が提案すべき薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- バンコマイシン塩酸塩散
- クラリスロマイシン錠
- イトラコナゾール錠
- レボフロキサシン錠
- イベルメクチン錠
解 4
問231
後日、洋生菓子の原材料である液卵(卵黄)と当該患者の下痢便から共通して医師が予想したものと同じ細菌が分離・同定された。細菌性毒素は検出されなかった。この患者の食中毒の原因菌として最も可能性が高いのはどれか。1つ選べ。
- ボツリヌス菌
- カンピロバクター・ジェジュニ
- サルモネラ属菌
- セレウス菌
- 黄色ブドウ球菌
解 3
問232-233
5 歳女児。保育園でシラミ症が集団発生し、母親と共に皮膚科を受診した。皮膚科医より第二類医薬品であるスミスリン®L シャンプー(注)で頭を洗うように指示を受け、薬局を訪れた。
(注:スミスリン®L シャンプー:成分 フェノトリン( 4 mg/mL))
問232
薬剤師が母親に説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- シラミのうち、頭部に寄生するのはアタマジラミです。
- シラミが頭部に寄生したら幼稚園、保育園、小学校等に行ってはいけません。
- スミスリン®L シャンプーは、日常の頭髪の洗浄目的には使えません。
- スミスリン®L シャンプーは、一度の使用で効果を示すので、繰り返し使用しないでください。
- 一度シラミ症になると免疫ができるので、再発症することはありません。
解 1, 3
問233
スミスリン®L シャンプーに含まれるフェノトリンは殺虫剤の成分である。フェノトリンの構造式はどれか。1つ選べ。
解 4
問234-235
60 歳男性。ジェノタイプ 2 型の C 型慢性肝炎と診断され、初回治療として DAAs(Direct acting antivirals)が投与されることになった。なお、この患者の腎機能は正常である。
問234
この患者から聴取した生活習慣や過去の経験のうち、C 型慢性肝炎に罹患した原因として可能性が低いのはどれか。2つ選べ。
- 鹿肉の生食
- 入れ墨や不衛生なピアスの穴あけ処置
- 20 歳代での手術時の輸血
- 海外旅行中の生水の摂取
解 1, 4
問235
この患者に投与する抗ウイルス薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ラミブジン
- ソホスブビル
- エンテカビル水和物
- ペラミビル水和物
- リバビリン
解 2, 5
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