衛生

押さえておきたい「分析疫学」【衛生】

分析疫学は、苦手と思う方が多い領域です。

苦手な人が多いからこそ、ぜひとも早めの対策&克服をしておきましょう。

特に臨床現場ではEBM(evidence-based medicine)の知識は必須となっています。

なんと、99-103回は毎年出ています。

この領域では、「煙草」と「肺癌」の関係性に置き換えて考えるとわかりやすいです。

まずはこれからご紹介する3つのポイントから勉強してください。



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薬剤師国家試験の押さえておきたい「疫学」の出題ポイント!

ポイント①時間の流れを理解する

症例対照(ケースコントロール)研究

症例対照研究は、一言でいうと「病気にかかっている人とかかっていない人を過去にさかのぼってある要因の影響を調べる」研究です。

「煙草」と「肺癌」で例えると、今肺癌の人と肺癌ではない人を対象に過去の喫煙の影響を調べるといった研究です。

つまり現在→過去に向かって調査します。

「時間の流れを理解する」というポイントから外れますが、対象者を選んでくるときに偏り(バイアス)が生じる可能性があるため、要因曝露と疾患発生率との関係性の信頼度は低いです。

肺癌でない人を選んでくるときに健康セミナーなどで募集するのか、パチンコ屋で肺癌でない人を募集するのか(まぁ極端な例えですが・・・)によって対照集団の特徴が変わってしまうので、疾患発生率との関係性の信頼度は低いとされています。

 

前向きコホート研究

前向きコホート研究は、「何らかの要因に曝露した人としてない人を比較して将来特定の疾患にかかる割合に違いがあるかを調べる」研究です。

「煙草」と「肺癌」で例えると、今煙草を吸っている人が将来どのくらい肺癌になるかを調べる研究が前向きコホート試験です。

現在→未来に向かって調査します。

煙草を吸っている人を対象として追跡調査をするので、要因曝露と疾患発生率との関係性の信頼度は高いです。

※後ろ向きコホート研究もありますが、これまで薬剤師国家試験に出題したことはありませんので、ひとまず押さえておく必要はありません。

 

横断研究

横断研究とは、「ある一時点における要因と疾患の関係性について調査する」研究です。

「2019年1月の東京都港区の肺癌患者数と喫煙者数」などを調査するのが横断研究です。

つまり現在の一点のみで調査します。

肺癌の有病率(有病率とは、ある一点における病気にかかっている人の割合。ある一定期間の病気にかかっている人の割合を示す罹患率とは異なります)はわかりますが、「煙草」と「肺癌」の関係性(因果関係)はわかりません。

 

ポイント②研究で得られる指標

それぞれの研究手法で得られる、

  • 指標
  • 算出方法
  • 意味

この3点は覚えておいてください。

算出方法は、自分で表を作って計算式を書いてみてくださいね。

それでは、ここからはそれぞれの組み合わせと意味について説明します。

コホート研究では、相対危険度・寄与危険度

相対危険度が示すこと

「タバコ」を吸うと「肺癌」に○○倍なりやすい

寄与危険度が示すこと

10万人が「タバコ」を吸うと「肺癌」になる人が○○人増える

症例対照研究では、オッズ比(相対危険度の近似式)

症例対照研究では、相対危険度や寄与危険度を算出することが出来ない

オッズ比が示すこと

例えば、「肺癌の人」「肺癌でない人」の過去の喫煙歴を調査したところ、オッズ比が1より多かった。

つまり「タバコ」は「肺癌」の発症に関連があるということがオッズ比よりわかった。

という感じでオッズ比を使います。

コホート研究での、相対危険度・寄与危険度

症例対照研究でのオッズ比

これは鉄板です。

 

過去問を解いてみよう!

98回 問19

要因曝露に起因する疾病発生頻度が得られる疫学研究手法はどれか。1つ選べ。

1 無作為化比較試験

2 症例対照研究

3 記述疫学

4 横断研究

5 コホート研究

 

 

 

解 5

要因曝露→「タバコ」、疾病発生頻度「肺癌」に置き換えて考えてみてください。

「タバコ」を吸った集団の「肺癌」発生頻度を調べるのは、コホート研究です。

コホートとは集団という意味があります。ある集団がどういう方向に行くのかを調べるのがコホート研究です。

 

98回 問19

 疫学の症例対照研究に関する記述のうち、正しいものはどれか。3つ選べ。

1 一般に、後ろ向き調査として行われる。

2 要因の暴露情報の偏り(バイアス)は小さく、信頼度は高い。
3 相対危険度の近似値を求めることができる。
4 寄与危険度を直接算出できる。
5 発生が稀な疾患の調査に適用できる。

 

 

 

解 1、3、5

症例対照研究は、起こった人の過去を調査することが出来るので、発生がまれな疾患でも調査することができます。

コホート研究は、曝露した集団のうち80%くらいの人が疾患を発生するのであれば調査しやすいのですが、0.00001%の人が発生するような疾患であれば、莫大な人を追跡しなければならず、適しません。

 

98回 問19

 経口避妊薬Aと血栓塞栓性疾患との関係を調べるために症例対照研究を行った。血栓塞栓性疾患を発症した女性 168 名と発症していない女性336 名において、Aの使用者はそれぞれ84 名と42 名であった。Aの使用による血栓塞栓性疾患の発症のオッズ比に最も近い数値はどれか。1つ選べ。

1 0.25
2 0.5
3 2
4 3
5 4
6 7

 

 

解  6

計算式をしっておけば算出することができます。適当な数字や文字をいれた表を作って式を示してみてください。それを数回するだけでこういった問題は解けます。

 

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